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改正食品衛生法の是非

 2024年6月1日から改正食品衛生法が完全実施されます。既存の漬物や総菜の加工販売をしていた農家は、3年間の移行猶予期間を与えられていましたが、それが5月31日で終わるそうです。自家製の漬物を産直市場などで販売している場合でも、衛生基準を満たす施設を整備し、所管する保健所の営業許可が必須となります。

 私は農協の直売所へ6月から9月まで夏野菜を毎日出荷していますが、売り場には様々な総菜や加工食品が並んでいます。生産者の名前入りですから、好みの品を選んで買いますが、これからどうなるのかと心配になるような記事が新聞に載っています。

 5月末までに漬物などの伝統的な食品の製造販売をやめる農家が多くいるそうですが、その原因は衛生基準をクリアするために多額の費用がかかることです。弊社でも出荷管理棟の建設に当たり、2階の研修室の隣りに厨房を作りましたが、将来のことを考えて飲食店の営業許可を取れる規格にしました。

 確かに面倒です。手洗い専用の流し、シンクは3つ、調理器具や調理台の配置図、換気扇など細部まで保健所の基準に合わせました。こんなことを一般的な農家のおばあちゃんたちに要求するなんて、法律は「安全」「安全」「安全」を追求して、(零細)生産者をつぶしにかかっているようです。

 国の法律は何を守るのか。もちろん公衆衛生は重要ですが、今まで何も問題なく何十年も何百年も続けてきた伝統的な食生活から生み出される食品を駆逐していいとは思えません。都市生活に慣れてしまうと、土着の者たちの造る食べ物が不衛生に感じるためでしょうか。地域の豊かだった食文化は静かに消えていきます。2024.03.21YW