四季の変化に富む日本。豊かな降水は時に台風や豪雪の驚異となることはあっても水田を潤し、日本人の主食お米づくりを育んできました。その日本有数の米どころ、新潟県の西端に糸魚川市はあります。急峻な山間を抜けて日本海に注ぐ川筋に広がる、上越の扇状地の連なりは古くは西浜七谷と呼ばれ、そこに拓かれた水田では、飯用米だけではなく酒米も盛んに作られてきました。
糸魚川の根知谷は、日本百名山のひとつ雨飾山に源を発して姫川へと西流する根知川に沿って、七つの谷のうち唯ひとつ東西に開けた土地となっています。そのため、稲の生育に大切な要素である日照、風向が他のエリアと異なり、根知谷のテロワールに独特な個性を与えています。根知谷の米を豊かな地下水で至純の酒へと磨き上げる。それが私たちの誇りと歓びなのです。
根知谷は豪雪地帯で、四季の変化がハッキリしています。根知谷の上流部には駒ケ岳(標高1,487m)と雨飾山(標高1,962m)があり、稲刈りを終えてひと月余り、10月下旬には山頂部が冠雪します。12月中旬には山麓でも積雪が継続して根雪となります。田んぼは、3月下旬まで雪に覆われます。その雪解け水は、春の農作業から利用され、夏の暑い季節まで田んぼに農業用水を供給します。
秋は、9月下旬に入ると雨が徐々に多くなり、収穫を終えた田んぼでは稲わらの腐食が進みます。それがまた、豊かな土壌の回復を支えるのです。そして再び、深い雪の下、春までしばらくの間休眠に入ります。