根知谷の日々 -Blog-

少年兵の弟を引き取る

 おやじ(実家の父)が亡くなって15年になりますが、たまに思い出すことがあります。昭和20年4月に応召して陸軍に入隊し、奈良県天理市の駐屯地で終戦を迎えたそうです。終戦間際で外地へ行くことなく無事で帰郷しましたが、その前の話が今でも忘れません。

 おやじは7人兄弟の長男で、次男、三男が年子でした。三男のおじさんは15歳で少年兵に志願して舞鶴の海軍に入隊したそうです。タイミング的にはおやじより先の入隊だったんでしょう。おじさんは舞鶴で亡くなりました。戦闘での死亡ではなく、伝染病に罹ったのが原因だったそうです。

 当時、おじいちゃんが上早川村の収入役だったためか、遺骨の引き取りにはおやじが行きました。その時の気持ちは話しませんでしたが、渡された骨箱の中には砂が入っていたそうです。やるせない話です。戦時の悲哀を感じます。

 毎年お盆にはお墓参りをしていますが、村の墓地の真ん中に大きな忠魂碑があります。第二次大戦で戦死した村人の墓碑銘です。大島裕三の名前を見ながらお焼香をするたびにおふくろの言葉を思い出します。「お前は裕三さんに似ているそうだよ」おやじは私に弟の面影を見ていたのかもしれません。2024.03.16YW