根知谷の日々 -Blog-

「官僚は現場知らない」JAcomより

 ネットニュースにこんな見出しの記事がありました。農業協同組合新聞の海外ニュースです。「EU農政にイタリア農家が抗議集会 環境規制「官僚は現場知らない」」、グリーンディール政策に対する現場からの抗議がメインですが、これで思い出すことがあります。某農水官僚が地方視察で弊社に来た時のことです。

 酒造会社が自社栽培で米作りに取り組み、地域営農にも貢献している構図に関心を持たれたのか、市役所の担当部署からの要請で、視察の受け入れをしました。大名行列のようなものなので、与えられた時間は30分程度だったと記憶しています。名ばかりの「視察」です。

 出荷管理棟2階の研修室に招き入れて、弊社の事業概要を15分程度ご説明したところ、ご親切にもその官僚は、「こんな支援策もある、こんな補助制度もある」と宣うので、「それは非現実的ですね」とお返ししたまでは我慢できたんですが。

 「ところで渡辺さん、少々意地悪な質問ですが、お宅の機械設備は過剰じゃないですか。」ときたところで、私の中で歯止めがプチンと切れてしまいました。「なぜこうしているのか、それは酒米の最高品質を追究しているからです。意味がわかりますか、わからないからそうおしゃるんですね。ではお聞きしますが、あなたは米作りをしたことがありますか。」

 少しの沈黙があり、某官僚は「残念ながら、米作りはしたことがありません。」と、今までの態度とは違って少し大人しくなりました。「米を作ったことのない人がどうして農業政策をつくれるんですか。」と尋ねたら、今度は無言になりました。

 私が常々思っていることです。不思議なことですが、農業の現場を知らない人たちが日本の農政を司っているのは、どう考えてもおかしな話です。ヨーロッパ全土に広がる農民の抗議活動が日本に起きないのは、日本政府(官僚)にとっての幸いですが、それは何れ日本の全国民に降りかかる災いとなります。2024.02.14YW