根知谷の日々 -Blog-

子供のころの春休み

 春の甲子園が連日中継されていますが、子供のころの春休みと言えば「水苗代」の準備でした。兄と二人でスコップを担ぎ、阿弥陀坂を越えて中野を通り過ぎると、道下に大坪の田んぼが見えてきます。法圓寺のはばしたにある1枚の田んぼが僕らの仕事場です。

 雪の多い年には3月下旬でも2mくらいの雪が残っています。この雪を1日でも早く消すために、直径2mほどの穴を掘ります。子供の背丈以上の深さになりますので、雪を放り上げるのが大変です。毎日通っていくつもいくつも穴を掘ります。

 田んぼの土が見えるとひと息つきますが、雪に押された田んぼの土は意外に固く締まっています。だんだん穴の数が増えてくると水がたまり始めて、雪解けが加速します。テレビを見たいのはやまやまですが、親に言われればやらないわけにもいかず、百姓家の春休みはひたすら体力づくりの雪ほりでした。

 水苗代(みずなわしろ)なんてもう死語でしょうが、よくあんな冷たい田んぼで苗つくりをしたもんです。昔の百姓は強かったし、稲も強かったなあと思います。おまけに子供も戦力としてよく働きました。2021.03.27YW