根知谷の日々 -Blog-

30歳の頃

 私が酒造りに携わるようになったのは昭和62年1月からです。あの頃は朝5時から仕事が始まり、午後5時まで。夕食を終えて7時頃には麹室の仕事。日曜日も関係なく正月三が日は休んだかな、という生活でした。

 5年ほどした平成3年の4月、当時の社長と杜氏に呼ばれて言われたことは、「この先酒造りを続けたければ、自分で人を探してきなさい」。蔵人は年寄りばかりで、いつ辞めてもおかしくない状態でした。

 私はちょうど酒造りが面白くなってきて、遣り甲斐のある仕事になっていたので、当然のごとく「わかりました、やらせてください」と応えましたが、ひとつ条件をつけました。「任せて頂けるなら、構造改善事業に必要な資金の調達をお願いします。」

 1年かけて事業計画を練り、10年計画で「零細蔵における正社員による週休制、通勤制の酒造り」に移行する大事業が始まりました。杜氏さんはその完成を見て平成13年の春に引退されました。2020.11.13YW