根知谷の日々 -Blog-

「日本酒ショック」

 数年前に「ウッド・ショック」がありました。建築関係業界は大変な思いをしましたし、施主も建築費用の増大で苦労しました。今、日本酒業界は正に「ショック」状態になっています。「令和の米騒動」は少なくとも2026年産、2027年産まで続き、トドメは2030年頃でしょうが、米作り農家の大量離農で国産米の自給体制は崩壊します。

 今までも書いてきましたが、加工米は「食用米の充足」を前提にしていますので、食べる米が足らないのに酒を造っている場合ではありません。戦時中、食料物資の不足で配給制が敷かれましたが、日本酒業界は休造を余儀なくされました。弊社でもこうりゃんで焼酎を造り、山ぶどうでワインを造って苦しい中を生き残ったと聞いております。

 今また酒造用原料米が足らない状況になりました。しかも価格は途轍もなく高い。造ることもできず、止めることもできない状態になって、周りから言われることは「お宅はいいねえ、自分で米を作っているから」。今の時点を切り取るとそういうことです。が、こうなることは少なくとも30年前にわかっていたことです。

 米の生産現場を見ていれば当然の帰結です。将来そうなるであろうということに対して、自分にできることを必死にやり続けてきました。地べたに這いつくばり、汗まみれ、泥まみれで全量自社栽培を創り上げた者として、見たくない景色が現実のものとなりました。これからの壮絶な展開に備えて老体に鞭打ちます。2025.06.22YW